何にもならない健康オタクの新習慣―運動と食べ過ぎない

エッセイ-そのヒクラシ

健康に関する情報は巷に溢れかえっていて、何が正しくて何が間違っているのかなんて見分けがつかない。私自身が実践している健康習慣も同様に、玉石混淆なのかもしれない。

自分の感覚に従うしかない。答えは自分の体と心の中にある。誰にとっても完璧な健康法などない。みんなそれぞれ体も心も違うのだから当然だ。さらには、常に変わりゆく体と心に、常にフィットする健康法もない。

健康に関する情報には、常に何となくアンテナが立っている。つまり、巷に溢れた雑多な健康情報をスクロールする、その程度ということだ。大した情熱があるわけでもない。だが、その中からキラリと光る逸品に出会えた時の嬉しさは、恐らく何らかのコレクターのそれと、同じものがある。私は健康情報コレクターなのか。それを、健康オタクというのか。そう、私は健康オタクを自負している。

この界隈に生息し始めて、もう二十年以上になる。何となくな健康オタクを続けてきた。気合の入ったオタクでは決してない。自分勝手な解釈を挟む。自分の都合に合った情報だけを取る。そのような、にわかオタクといえる。健康のためにどこまでできるかと問われれば、そこまでできないと早々に退場するだろう。であれば、健康オタクというのはいい過ぎなのかもしれない。

とはいえ、日頃顔を合わす面々の中では、私が飛びぬけて健康への関心が高い。そんな私がよく口にするのは、やはり健康ネタだ。誰も教えて欲しがってなどいないのは承知している。だが、まともに聞いてなどいないのだから当たり障りもない。こんなに健康に気遣ってるのに体調良くないんだけどね、という落ちがあるので嫌味もない。健康オタクぶりをバカにすることもされることも、またそれを聞いていることも、談笑としての許容範囲内に収まってくれるので、なお、扱いやすい。愛すべき健康オタクとして、これからもやっていくのだろう。

だが、ネットの世界ともなると私の立ち位置は全く違ってくる。オタクとしての情熱がほとばしる彼ら彼女らの足元にも及ばない。実は健康リテラシーが低いのではと疑いをかけられそうな私などが、この界隈で健康オタクと自負するには無理がある。リアルとネットではこうも開きがある。私はお山の大将的健康オタクとしてしか、やっていくことはできないのだ。

こんな私だが、自分の心と体を常に気遣っていることは本当だ。心身の健康を盤石なものにすることが、私の大いなる野望なのだ。それにはまず、健康にならければならない。そのためには何が必要か。答えはもう出ている。運動する、食べ過ぎない、これにつきる。

これぞ、言うは易く行うは難しのツートップ。二十年も健康オタクでありながら不健康を続けることになった要因は、これらを回避してきたことにもあるのだろう。お腹いっぱい食べて楽することが優先され続けた。そのくせ、どうにか健康になろうとあがいてきた結果が、今の私、何にもならない健康オタクを作った。

答えは出ているのだ。運動して食べ過ぎないこと、これを実行する、それだけだ。先月念願だったルームランナーを購入した。実は、随分と前から欲しかったのだが、買い控えてきた。というのも、結局やらなくなってしまうのではないかという考えがどうしても拭いきれなかったからだ。金額も図体も大き過ぎてプレッシャーとなった。だが、そんな心配は無用であった。十万円ほどもする堂々たるルームランナーに否が応でも期待が高まったが、その期待に反することなく、ついに運動が習慣化された。この二週間、二十分以上のウォーキングを欠かした日はなかった。ウォーキング?これは、運動としては若干弱い。次は、週に一度か二度、息が切れるくらい走る、これを習慣化させようと目論んでいる。

あとは、食べ過ぎない、これだけだ。一日二食生活になってからどのくらいが経つだろう。少なくとも十三年は経っている。意外にも、健康のために意識して始めたわけではない。夜型の夫と生活し始めてからというもの、朝食を食べる機会を失ったという成り行きで始まった習慣だった。確かそれ以前は、三食食べていたような気がするが、朝食の記憶は何故か薄くてよく思い出せない。

一日二食だけあって、一日のトータルの食事量は食べ過ぎというほどは食べてはいない。だが、私は自分の内臓に大変申し訳なく思っている。ブランチは軽く簡単に済ませるが、夕食は食欲の赴くままに好きに食べるのがお決まりだ。毎夜毎夜、ワイン片手に好きなものを好きなだけ食べようとがっつく品のない自分に呆れる。食べ過ぎて胃をもたれさせ、食べ過ぎた自分に嫌悪感を強く抱くも、少しするとまた同じことを繰り返しをしてしまう学習のない自分にも嫌気がさす。

ただ私は、意識せずとも十六時間断食を達成している日も多い。ほぼ毎日、夕食からブランチまでの食間が十五時間から十六時間空くため、空腹時間による健康効果は十分に期待できる。とはいえ、十六時間断食が、常に歓迎できる健康法とは限らないだろう。少なくとも今の健康状態、今の行動様式の私にとっては、良い方向に働いてくれている気がするので、このまま十五~六時間断食でいこうと思う。

結局のところ、私はなかなかよくやっているのではないか。あとは、走る習慣化に期待しよう。食べ過ぎについては、現状維持で。今後はこれまで以上に気を引き締めていこう。そんなところで、私の体と心のお許しを頂戴し、ひとまずそれで良しとする。

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